昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターのICUでは、先天性心疾患を抱えるお子さんたちの術後管理を多く行っています。
今回はICU師長として現場を支える高野師長に、先天性心疾患の子どもを支える看護について伺いました。
「先天性心疾患のお子さんが中心」というICUの特徴
当院にはICUがいくつかありますが、それぞれ特徴があります。
私が勤務しているICUは、特に“心臓の悪いお子さん”が多いことが特徴です。先天性心疾患のお子さんが中心に入室されるというのが、大きな特徴ですね。
小児循環器の看護は、本当に難しい領域だと思います。
どれだけ経験がある看護師でも、すぐにできるものではありません。小児をずっとやってきた人でも難しいですし、成人領域の経験が長い人でも同じです。
もちろん基本的なことはできなければいけませんが、それに加えて“プラスアルファ”が求められる世界なんです。
特に大切なのは、術前からしっかり準備しておくことです。
先生たちと術前からコミュニケーションを取りながら、「どういうお子さんがICUに戻ってくるのか」「どんな変化が起きる可能性があるのか」を事前に共有しておく。それがすごく大事だと思っています。
「自分の子どもを見る」という親御さんの気持ち
小児を診るというのは、成人看護とは決定的に違います。
親を見るのと、自分の子どもを見るのでは、本当に雲泥の差なんですよね。
もちろん大人の患者さんでも大変ですが、お子さんとなると、やはり親御さんの思いは全然違います。
だから、ご家族とのコミュニケーションは本当に難しいです。
これまでどんな経緯があって、どんな思いでここまで来たのか、一人ひとり全く違います。
正直、言葉が出ない場面もあります。
変に声をかけられないこともあります。
でも、遠くから見ているわけにはいかないので、少しでもそばに行こうとは思っています。
ただ、親子の時間もすごく大切なので、その距離感には気をつけています。
ICUを支えるのは「チームの力」
先生たちは、本当に人生を懸けてこの領域に向き合っています。
ずっと勉強して、知識を磨いて、目の前のお子さんをどうにか助けたいという思いで治療しています。
その手術によって人生が大きく変わるお子さんもいますし、ご家族もいます。
だから私たちも、「少しでもチームの力になりたい」という思いで関わっています。
これは看護師と医師だけでできる医療ではありません。
臨床工学技士をはじめ、多くの多職種が関わっています。
常に連携を取り続けることが本当に大切だと思っています。
「結果が出ているチーム」だからこその情熱
このセンターの強みは、やはり“情熱”だと思います。
先生たちは、「どうにか助けたい」「どうにかしたい」という思いが本当に強いです。
自信満々というよりも、悩みながら、一人ひとりに向き合っている姿をずっと見ています。
でも、その中で手術を乗り越えて、どんどん元気になっていくお子さんたちを実際に見ているので、結果が出ているチームだと思っています。
だからこそ、みんなのモチベーションも高いですし、本当にいいチームだなと思っています。
私自身も先天性心疾患があります
実は私自身も、先天性心疾患があります。
「修正大血管転位」という病気なんですが、これまでほとんど自覚なく生きてきました。
でも、この領域に関わるようになって、「自分もそうだったんだな」と改めて感じるようになりました。
だから、いろいろなお子さんを見ていると、「可能性しかないな」と思うんです。
今を乗り越えて、先生たちがしっかり治療していけば、その先にはいろいろな人生があると思っています。
私自身も、心臓が悪くても元気に生活していますし、楽しいこともたくさんあります。
そして、医学の進歩は本当にすごいです。
30年前にはなかった薬が今は普通に使われていますし、治療もどんどん進歩しています。
だから、少しずつでも前に進んでいけば、もっと良くなっていくんじゃないかなと思っています。
ICU看護で最も大切なのは「安全」
ICU看護で一番大切なのは、やはり「安全にやること」です。
ここは、“次頑張ろう”では済まない世界です。
だからこそ、安全面を徹底することを一番大切にしています。
そのためには、スタッフ教育も必要ですし、チーム全体の連携も必要になります。
安全にやって当たり前――その意識を常に持ちながら、日々看護にあたっています。
親御さんへのメッセージ
私自身も、地方でいろいろな病院を受診してきた経験があります。
当時は、「大丈夫」「何でもない」と言われ続けていました。
だから今、悩んでいる親御さんたちの気持ちは本当に大きいと思います。
もし悩んでいるなら、一人で抱え込まずに相談してほしいです。
セカンドオピニオンでも、サードオピニオンでもいいと思います。
今は本当に良い先生たちがたくさんいます。
相談することで、何か解決策が見えてくることもあると思います。
最後に判断するのは親御さんだと思います。
でも、まずは専門家に相談してみることが大切だと思っています。
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