心臓の手術を終えた子どもたちが、一歩ずつ回復していく。その過程を身近で支えているのが、ICU(集中治療室)の看護師です。
昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターでは、医師や看護師をはじめとする多職種が連携し、子どもたちの治療とケアに取り組んでいます。今回は、小児循環器の術後看護を担当するICU看護師へのインタビューをもとに、日々の看護で大切にしていることや、ご家族との関わり、子どもたちの回復を支えるチーム医療についてご紹介します。
言葉にできない思いを受け止める
今回インタビューに応じた看護師が所属するICUは、大人から子どもまで、手術後の患者さんを受け入れる病棟です。その中で、小児循環器の手術を受けた子どもたちの看護を担当するようになりました。
小児の看護で難しさを感じたのは、子どもたちの訴えをくみ取ることでした。大人の患者さんは、痛みやつらさ、してほしいことを言葉で伝えられることが多くあります。一方、幼い子どもは自分の気持ちを十分に言葉にできず、術後に人工呼吸器を使用している間は、声を出して伝えることも難しくなります。
言葉でのやりとりが難しい中で、その子が何を感じ、どのようなケアを必要としているのかを考える。小児循環器の看護では、目の前の子どもを理解しようとする姿勢を大切にしています。
泣き声や着替えの時間に感じる回復の喜び
日々の看護で大きなやりがいとなるのが、子どもたちの回復を実感できる瞬間です。
手術後、人工呼吸器につながれた状態でICUに入室した子どもが、回復に伴って呼吸のための管を外せるようになる。そして、泣き声が聞こえるようになる。その変化は、そばで関わってきた看護師にとって、とてもうれしい出来事です。
術後に体につながっていた管が一本ずつ外れ、体を拭いたり、着替えをしたりする時間にも、回復の喜びがあります。インタビューでは、こうした日常のケアができる瞬間に幸せを感じるという思いが語られました。
子どもたちが少しずつ元気になっていく姿は、看護師にとって、次のケアに向き合う力にもなっています。
ご家族にも日々の変化を感じていただくために
子どもの入院中、ご家族がそばで見守ることのできない時間にも、さまざまな変化があります。看護師は、その様子をご家族にお伝えする役割も担っています。
夜はどのように過ごしていたのか。昨日と比べて、今日はどのような様子だったのか。日々の何気ない出来事も、できるだけお話しすることを心がけています。
大切にしているのは、ご家族にも子どもの成長や回復の過程を身近に感じていただくことです。病状や治療の経過だけでなく、そばで関わる看護師だからこそお伝えできる日常の姿を共有し、ご家族とともに子どもたちを見守っていきたいと考えています。
手術前からつながる多職種のチーム医療
小児循環器の治療では、手術前からさまざまな職種が情報を共有しています。
手術前のカンファレンスでは、麻酔科医や臨床工学技士など、手術に関わる多職種が集まり、想定されるリスクや術後の管理について話し合います。ICUに入室した後も、集中治療科医、小児循環器を担当する医師、看護師、薬剤師などが日々のカンファレンスを通して意見を交わしています。
それぞれの専門的な視点を持ち寄ることで、一つの職種だけでは気づかなかったことが見えてくる場合もあります。顔を合わせて話し合う積み重ねが、子どもたちを支えるチームの力につながっています。
一人ひとりに合った看護を考える
同じ病気であっても、同じような手術を受けた後であっても、必要なケアは一人ひとり異なります。以前の経験だけでは対応に迷う場面もあり、そのたびに、目の前の子どもに合った看護を考えることが求められます。
今回インタビューに応じた看護師は、先輩看護師の姿から、こうした個別性を大切にする看護を学んでいると話しています。困ったときには先輩に相談し、その子に合うケアを一緒に考えています。
病気や術後の状態について学ぶとともに、その子自身を理解すること。経験を重ねながら、一人ひとりに向き合える看護師へと成長していきたいという思いが、日々の学びを支えています。
退院後の生活を見据えて子どもたちを支える
病気によって、子どもたちが日常生活の中でできることに制限が生じる場合があります。手術後の回復を支える看護には、退院後、その子ができることを少しでも増やしていけるように、という願いも込められています。
ICUで過ごす時間の先にある、子どもたちの暮らしや成長。その先を思い描きながら、日々のケアに取り組んでいます。
当センターでは、これからも多職種で連携し、子どもたちとご家族に寄り添う医療・看護に努めてまいります。動画では、小児循環器の術後看護に携わる看護師が、現場で感じる喜びや大切にしている思いを自身の言葉でお話ししています。ぜひ、あわせてご覧ください。
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