昭和大学病院小児循環器・成人先天性心疾患センター

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2018.03.26

修正大血管転位に対するダブルスイッチ手術に成功

修正大血管転位とは大動脈と肺動脈の大血管に加え、心房と心室の位置も逆になった稀な先天性心臓病で、先天性心臓病全体の中で1%程度を占めます。多くの場合、左右の心室を隔てる壁に孔が空いている心室中隔欠損や、肺動脈が狭くなった肺動脈狭窄など他の先天性心臓病を合併します。
血液は右心房-右側にある左心室-肺動脈-肺静脈-左側にある右心室-大動脈と流れ、流れの方向は修正されていますが、本来は肺動脈に血液を送る右心室が大動脈に血液を送り出しているため、心不全やチアノーゼが問題となります。
ダブルスイッチ手術は右心房-左側にある右心室-肺動脈-肺静脈-左心房-右側にある左心室-大動脈と左右の心室が本来の役割を果たすように血液の流れを転換する手術で、合わせて合併する心室中隔欠損や肺動脈狭窄も治します。

 

高橋長裕著(2007)『図解先天性心疾患-血行動態の理解と外科治』医学書院より引用し一部改変

 

極めて難易度の高い手術手技で高度の技術を必要とするため、全国的にもこの手術が可能な施設は限られます。

加藤 蓮さんは北海道で生まれ、チアノーゼが出て、地元の病院でこの病気であることを診断されましたが、北海道ではこの手術が不可能と言われていました。当院で佐野特任教授に手術をしてもらえることを知り、小児循環器・成人先天性心疾患センターを受診しました。
佐野教授の執刀により2018年2月15日にダブルスイッチ手術を受け、このほど元気に退院されました。

 

執刀した佐野教授(前列左)、加藤 蓮君(前列右)と、治療にあたった小児循環器・成人先天性心疾患センター富田教授(後列中央)、宮原准教授(後列右)、藤井准教授(後列左)。
※加藤 蓮さんとご家族の了承を得てお写真を掲載させていただいています。

 

昭和大学ではお子さんの心臓病、先天性心臓病に対する診療の拠点を昭和大学横浜市北部病院循環器センターにおき、北部病院こどもセンター、昭和大学病院をはじめとする関連施設と連携をとり、診療にあたってまいりました。2018年1月1日より、昭和大学横浜市北部病院循環器センターのうち、お子さんの心臓病、先天性心臓病の診療にあたっていたスタッフが昭和大学病院に異動し、小児循環器・成人先天性心疾患センターを立ち上げました。胎児から成人まであらゆる年齢の先天性心臓病、小児の心臓病の診断・治療・カテーテル治療・外科治療など専門性の高い診療にあたっています。