こんにちは。昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターの藤井です。
今回は、当センターの特徴や診療体制について、わかりやすくご説明いたします。
多職種連携による幅広い診療体制
当センターは、心臓血管外科医、カテーテル治療を担当する小児科・小児循環器の専門医など、多様なスタッフによって構成されています。幅広い年齢層の患者さんに対応するため、私たちだけでなく各専門診療科とも密に連携し、診療を行っています。
たとえば、胎児心臓超音波検査による出生前診断の場合には、産婦人科の先生と協力して検査やご説明を行うことが多くあります。また、生まれて間もない赤ちゃんの場合は新生児集中治療室(NICU)に入院することが多く、新生児診療の専門家とともに診療を進めます。
成長し成人になった患者さんには、心臓以外の合併症や成人期特有の問題が出てくる場合もあります。その際は循環器内科など成人診療科の先生と連携しながら、きめ細かな診療を行う体制を整えています。
総合周産期母子医療センターとの連携
当院の総合周産期母子医療センターでは、小児科と産婦人科が協力し合い、新生児専門医、成長した子どもを診る小児科医、小児循環器医、心臓血管外科医、小児外科医など、各分野のスペシャリストが在籍しています。
例えば、心臓以外にお腹の合併症があり手術が必要な場合も、小児外科の先生が連携して治療に当たります。このように、多様な専門家によるチーム診療で、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供しています。
出生前診断の進歩とご家族へのサポート
出生前診断の進歩により、赤ちゃんが生まれる前に心臓病の有無や治療の見通しを予測できるようになりました。
妊婦健診では妊娠初期・中期にスクリーニング(心臓の形に大きな異常がないかをチェック)を行います。異常が疑われた場合は、さらに精密な心臓超音波検査を追加し、小児循環器専門医とともに診断します。
診断が早期に確定すれば、ご家族へ十分なご説明を行い、出産後の治療やケアを事前に準備できます。
その結果、出生後の治療がスムーズになり、治療成績も格段に向上しています。
成人先天性心疾患への対応
当センターは「成人先天性心疾患」にも力を入れています。
子どもの頃に手術や治療を受けて元気に過ごしていた方でも、大人になってから不整脈や心不全といった症状が現れることがあります。そのため、元気に見える方でも定期的なフォローアップをお勧めしています。
また、進学や転居などで病院を変えなければならない場合でも、全国各地から当院で継続診療が可能です。他院からの紹介や途中からの受診も、どうぞ遠慮なくご相談ください。
長期にわたる伴走とチーム医療
生まれつきの心臓病、先天性心疾患は、ご家族にも大きな不安やご負担をもたらしますが、多くの場合、標準的な治療が確立されています。
適切な時期に適切な診療を受ければ、お子さんが元気に成長し、大人になって社会で自立した生活を送ったり、女性であれば妊娠・出産を無事に終えることも可能です。
手術やカテーテル治療、入院など、さまざまなプロセスを経る中で不安を感じることも多いと思いますが、私たちの科は「胎児期から大人になるまで、絶え間なく診療を続ける」ことを最大の特徴としています。
治療を受けるお子さんも、ご家族も、私たちが長い期間しっかりと寄り添い、一緒に歩んでいくことを目指しています。
おわりに
何かご不安やお困りごとがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。
昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターは、患者さんとご家族に寄り添い、長期的な安心と信頼をお届けするチーム医療体制で皆さまをサポートしています。