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腎動脈狭窄(腎血管性高血圧)に対するカテーテル治療

腎動脈狭窄とは?

腎臓に血液を運ぶ重要な血管を「腎動脈」と呼びます。腎動脈狭窄とは、この腎動脈が何らかの原因で狭くなってしまう状態です。
小児における腎動脈狭窄の最も一般的な原因は「線維筋性異形成(せんいきんせいいけいせい)」で、腎動脈の壁が異常に厚くなったり、繰り返しの狭窄が生じたりすることで血管が狭まります。その他、大動脈炎症候群などが原因となることがあります。
腎動脈が狭くなると、腎臓への血流が悪くなり、腎臓は血圧を上げるホルモン(レニン)を分泌します。その結果として「二次性高血圧」が発症します。この高血圧が続くと、腎臓の機能が低下したり、左心室が肥厚したりするなど、長期的な健康障害につながる可能性があります。

症状と発見のきっかけ

小児の高血圧は成人ほど一般的ではなく、学校健診や乳幼児健診で見落とされやすいのが特徴です。腎動脈狭窄が原因となる高血圧も同様に、発見が遅れることが少なくありません。
高血圧そのものが無症状の場合が多いため、お子さん本人が症状を訴えることは稀です。しかし、以下のような場合には注意が必要です。
検査時に血圧が高い、健診で繰り返し血圧高値を指摘されたこと、頭痛や倦怠感、学校での集中力低下などの症状がある場合には、二次性高血圧の原因検索が重要です。特に若年で強い高血圧がある場合、一側性の腎動脈狭窄が疑われます。

腎動脈狭窄の診断と治療方針

腎動脈狭窄の診断には、腹部超音波検査、造影CT、MRI血管造影、そして腎動脈カテーテル検査などが用いられます。これらの検査により、狭窄の位置、程度、腎臓の機能を詳しく評価します。
治療方針は、狭窄の程度、血圧コントロールの状況、腎機能によって決定されます。軽度の狭窄で血圧が良好にコントロールされている場合には、薬物療法と定期的な経過観察を行うことがあります。一方、中等度から高度の狭窄があり、血圧が薬物療法で十分にコントロールできない場合や、腎機能が悪化している場合には、カテーテル治療が良好な治療選択肢となります。

小児における腎動脈狭窄に対するカテーテル治療の利点

小児の腎動脈狭窄、特に線維筋性異形成に対するカテーテル治療(経皮的腎動脈形成術)は、外科手術に比べて体への負担が少なく、優れた治療成績を有しています。
カテーテル治療により、狭窄した腎動脈を拡張し、血流を改善することで、高血圧の改善や腎機能の保護が期待できます。治療後、多くのお子さんで血圧が低下し、降圧薬の減量や中止が可能になります。カテーテル治療は、胸部や腹部を大きく切開する必要がなく、入院期間も短いため、学校生活への影響が最小限で済みます。

カテーテル治療とは?

腎動脈狭窄に対するカテーテル治療は、胸部や腹部を切ることなく、太ももの付け根や手の血管からカテーテル(細い管)を挿入し、狭窄した腎動脈まで進めて「バルーン」(風船)で血管を内側から押し広げる治療法です。必要に応じて、ステント(金属製の筒状の骨組み)を留置して、血管の再狭窄を防ぐこともあります。
この治療法は、体への負担が少なく、回復が早いのが大きな特徴です。

治療の流れ

  1. 事前検査と評価
    腹部超音波検査、造影CTやMRI血管造影で狭窄の位置・程度を詳しく調べます。血圧測定、腎機能検査(血清クレアチニン、尿素窒素)、尿検査、レニン活性などの各種検査も行い、診断を確定して治療方針を決定します。全身状態の評価も重要です。
  2. 治療前日・治療当日
    必要に応じて抗血小板薬などの前処置を行います。治療当日は、全身麻酔または静脈麻酔のもと、お子さんが眠っている間に治療を行います。
  3. 血管アクセスとカテーテル挿入
    太ももや手首などの血管を穿刺してカテーテルを挿入し、大動脈を経由して腎動脈入口部まで進めます。X線透視や血管造影を用いながら、正確に狭窄部位に到達します。
  4. 腎動脈形成術の実施
    バルーンカテーテルを狭窄部位に進め、バルーンを膨らませて血管を拡張します。拡張前後の血圧測定や動脈造影を行い、狭窄の改善を確認します。血管の状態によっては、ステントを留置することもあります。
  5. 治療の確認と終了
    腎動脈の血流が良好に改善されたことを確認します。問題がなければカテーテルを抜いて治療は終了です。

治療後の経過

治療後は数日間入院し、血圧の変化、腎機能、造影剤の副作用の有無を慎重に観察します。治療直後から血圧が低下し始め、降圧薬の減量や中止が可能になることが多くあります。
治療成績は比較的良好で、特に線維筋性異形成に対するカテーテル治療は、約70~80%の患者さんで血圧改善が期待できます。腎動脈狭窄が完全に解除されれば、血圧の完全コントロールも可能です。
治療後は定期的な外来受診が重要です。血圧測定、腎機能検査(血清クレアチニン、糸球体濾過量)、腹部超音波検査やドプラ超音波検査を行い、血流の改善が維持されているか、腎機能が保たれているかを確認します。ステント留置の場合は、長期的な開存性を監視する必要があります。
多くのお子さんは、治療後数日で退院でき、その後は制限なく学校生活や運動を再開することができます。

カテーテル治療のメリットと注意点

メリット

腹部を切らずに済み、体への負担が小さい。傷も最小限で、回復が早く、入院期間が短い。学校生活への影響が少ない。治療後、多くのお子さんで血圧が改善し、降圧薬の減量や中止が可能になる。腎機能の低下を防ぎ、将来的な腎不全や心臓病の合併症を予防できる。二次性高血圧が早期に診断・治療されることで、左心室肥厚などの臓器障害が軽減される。

注意点と可能性のある合併症

ごくまれに、腎動脈の損傷、血栓形成、造影剤アレルギー、ステント留置後の再狭窄などが起こることがあります。腎機能が著しく低下している場合には、造影剤による腎障害のリスクが高まるため、慎重な検査と治療計画が必要です。定期的な外来受診と検査により、長期的なフォローアップが必須です。

ご家族へのメッセージ

お子さんの高血圧が学校健診や乳幼児健診で見落とされることがないよう、保護者の皆様が注意を払うことが大切です。繰り返し血圧高値を指摘された場合や、頭痛などの症状がある場合には、積極的に小児循環器専門医に相談することをお勧めします。
腎動脈狭窄が発見されても、適切な診断と治療により、血圧をコントロールし、お子さんの健やかな成長と将来の健康を守ることは十分に可能です。線維筋性異形成に対するカテーテル治療は、今や安全で確立された治療法であり、豊富な経験を持つ医療チームがお子さんに最適な治療を実施いたします。
不安なことや疑問があれば、どんなことでもご相談ください。ご家族とともに、お子さんの健康と成長を全力でサポートします。

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