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肺動脈狭窄とは?

肺動脈(はいどうみゃく)は、心臓から肺に血液を送り、酸素を取り込むための大切な血管です。「肺動脈狭窄」とは、この肺動脈の一部が生まれつき、または手術後などに“狭く”なってしまい、血液が通りにくくなっている状態を指します。

狭窄が強いと、心臓は肺へ血液を送るために一生懸命働かなくてはならず、心臓への負担が大きくなります。十分な酸素が体に行き渡らず、息切れや疲れやすさ、成長の遅れなどの症状が現れることもあります。心雑音がきっかけで健診で見つかったり、手術後の経過観察中に見つかることもあります。

肺動脈狭窄の治療方法

肺動脈狭窄の治療は、狭くなった部分の場所や長さ、重症度、年齢、これまでの治療歴によって決まります。軽い場合は経過観察のみでよいこともありますが、血流が大きく妨げられている場合や心臓の負担が強い場合は、積極的な治療が必要です。

治療には、「バルーン拡張術」と「ステント留置」があります。バルーン拡張術では、狭くなった部分に風船のついたカテーテルを入れて広げますが、再び狭くなったり、十分に広げきれない場合もあります。そのようなときに、よりしっかりと血管を広げて保つために「ステント留置」という治療が行われます。

ステント留置とは?

「ステント」とは、金属でできた細い網目状の筒(チューブ)です。これをカテーテル(細い管)を使って、狭くなった肺動脈の部分に送り込み、広げて設置します。ステントは拡げたまま血管の内側でしっかりと支え続け、血流の通り道を確保します。

ステント留置の流れ

  1. 事前検査・準備
    心エコー(超音波検査)や心臓カテーテル検査、CT・MRIなどで、狭窄の位置や長さ、周りの血管の状態を詳しく調べます。体調や全身の健康状態もチェックします。
  2. 治療当日
    治療は、全身麻酔や静脈麻酔下で行われます。お子さんは眠っている間に治療が進むため、痛みや恐怖は感じません。
  3. カテーテルの挿入
    足の付け根(大腿静脈など)の血管から細い管(カテーテル)を心臓、肺動脈まで進めます。X線(レントゲン)で位置を確認しながら慎重に操作します。
  4. バルーン拡張・ステント設置
    まず狭くなった部分にバルーン(風船)付きのカテーテルを入れ、膨らませて一時的に血管を広げます。次に、同じ場所にステントを送ってバルーンで拡げ、しっかりと血管に固定します。
  5. 治療の確認と終了
    バルーンとカテーテルを抜いた後、レントゲンや心エコーでステントが正しい位置にあり、血流が良くなっていることを確認します。問題がなければ治療は終了です。

治療後の経過

治療後は、数時間から一日程度、病院で経過観察を行います。出血や血管のトラブルがないか、またステントがしっかり機能しているかを確認します。特に問題がなければ、数日以内に退院できます。

治療によって血流が良くなり、心臓や肺への負担が軽減されることで、息切れや疲れやすさの改善、成長や発育の促進が期待できます。

退院後も定期的に外来で診察を受け、心エコーやレントゲンなどでステントの状態や血流を確認します。成長に伴い、血管や体が大きくなると、ステントの追加拡張や再設置が必要になることもあります。

ステント留置のメリットと注意点

メリット

  • 胸を開かず、カテーテル治療だけで済むため体への負担が少ない
  • 傷も小さく、回復が早い
  • 血流がしっかり確保されることで、心臓の負担が減り、元気に過ごせる

注意点

  • ごくまれに、ステントがずれる、血管が傷つく、血栓ができるなどの合併症が起こることがある
  • 成長とともに追加の治療が必要になる場合がある
  • 定期的な外来通院と画像検査が必要

ご家族へのメッセージ

肺動脈狭窄のステント留置は、お子さんの体への負担をできるだけ少なくし、生活の質を高めるための治療法です。体の成長や日常生活にあわせて、最適なタイミングで安全に治療が行われるよう、経験豊かな医療チームがしっかりサポートします。

気になることやご不安な点があれば、どんな些細なことでも遠慮なくご相談ください。ご家族とともに、お子さんの健やかな成長を応援します。

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