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経皮的肺動脈弁置換術 徹底解説

こんにちは。昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターの藤井 隆成です。
本日は、小児のファロー四徴症についてご説明いたします。

小児の経皮的肺動脈弁置換術とは?

~子どもの頃に心臓手術を受けた方へ~

心臓の「弁」の役割

心臓の中には、血液の流れをコントロールする4つの弁があります。これらの弁は、「扉」のように開閉して、

  • 開くときは血液をスムーズに流し、

  • 閉じるときは逆流を防ぎます。

この働きにより、心臓内や全身への血流が効率よく保たれています。


肺動脈弁の問題とその背景

先天性心疾患の治療として、肺動脈弁の手術やカテーテル治療を子どもの頃に受けた方は少なくありません。たとえば、

  • 肺動脈弁狭窄

  • ファロー四徴症

  • 類似の先天性心疾患

などに対して、狭窄部位を広げる手術を受けた結果、一時的に血流は改善されます。しかしその後、肺動脈弁の閉鎖機能が低下し、弁がうまく閉じずに血液が逆流する「肺動脈弁逆流」が起きてくる場合があります。


弁逆流を放置するとどうなるのか?

子どもの頃に手術を受けた後は、成長とともに元気に過ごせている方が多くいらっしゃいます。しかし、逆流のある状態を放置すると、年齢を重ねた頃に次のような症状が現れることがあります:

  • 息切れ

  • 動悸

  • むくみ(浮腫)

  • 疲れやすい

  • 心不全の進行

これらは心臓に過度な負担がかかっているサインです。


肺動脈弁置換術とは

以前は**開胸手術(胸を開ける手術)でしか弁を取り替える方法がありませんでしたが、現在ではカテーテルによる経皮的弁置換術(PPVI)**が可能となっています。

この治療法では、

  • 足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、

  • 狭くなったり逆流のある肺動脈弁を、

  • 人工弁に置き換えることで、心臓の負担を軽減します。


経皮的治療のメリット

経皮的肺動脈弁置換術は、体への負担が少なく済む治療です。主な利点は以下の通りです:

  • 胸を開けずに治療可能

  • 小さな傷で済む

  • 手術時間が短い

  • 入院期間も短く、通常4~6日程度

  • 回復が早く、日常生活への復帰もスムーズ

忙しい生活の中でも比較的受けやすい治療といえます。


治療のタイミングが大切です

大切なのは、「症状が出る前」に適切なタイミングで治療することです。

症状(息切れ、動悸、むくみなど)が出てからでは、心臓へのダメージが進んでいることもあり、回復が難しくなることがあります。そのため、

症状がなくても定期的な検査が重要です。

半年に1回〜年に1回、主治医の指示に従って心臓の状態をチェックしていきましょう。


定期的な通院のすすめ

「子どもの頃に手術したきり、最近は病院にかかっていない」という方も、症状がなくても心臓の状態をチェックすることが将来の健康を守る鍵になります。

  • 昔通っていた病院に再度連絡をとってみる

  • 現在の主治医に心臓のチェックをお願いする

これらはすぐに始められる第一歩です。


最後に:安心して治療を受けるために

経皮的肺動脈弁置換術は、心臓の負担を軽くし、これからの生活の質を守る治療法です。肺動脈弁狭窄症など、先天性心疾患の手術歴がある方は、ぜひ「今の状態」を確認するために受診を検討してみてください。

治療法は大きく進歩しています。担当医と相談しながら、適切なタイミングで適切な治療を受けて、安心して元気に日々を過ごしていきましょう。

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