こんにちは。昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターの宮原 義典です。
本日は、小児心臓血管外科 宮原義典のポリシーについてご説明いたします。
小児心臓血管外科医・宮原義典の手術にかける思い
〜ファロー四徴症を入り口に、すべての手術に誠意と技術を〜
ファロー四徴症は小児心臓外科の入り口
ファロー四徴症は、我々小児心臓外科医にとって非常に重要な疾患です。複雑な先天性心疾患の中でも代表的なもので、昔は「ファロー四徴症の手術ができて一人前」と言われた時代もありました。
現在では、複雑心疾患手術の入門ともされるこの病気に対し、私は特に以下の2つの手術を大切にしています:
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新生児期に行う Blalock-Taussig手術(BTシャント)
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成長後に行う ファロー四徴症の修復手術
この2つの手術をしっかりと確実に行うことが、複雑心疾患治療の第一歩だと考えています。
得意とする手術:BTシャント
私はこれまで150例以上のBTシャント手術を行ってきましたが、一度もシャントが詰まったことはありません。海外では新生児期のBTシャントには5〜10%の死亡リスクがあるとも言われていますが、当院ではそのような事例は経験していません。
手術成功の秘訣は「正確さ」と「リズム」
心臓手術において最も大切なのは**吻合(ふんごう)**です。針を持ち、正確に、同じ幅で丁寧に縫合していくこと。そして終点と始点を計算しながらリズムよく進めていくこと。私の手術は「優雅に踊るように針を進める」のがモットーです。
ゆっくりでも迷わず、一定のテンポで進めることで、結果として速く、効率もよい手術になると考えています。
小さな心臓に向き合うための装備
私は4.5倍の高性能拡大鏡を使用しています。一般的な外科医よりもやや大きめの倍率ですが、細かい構造が非常によく見えることで、止血点を素早く見つけたり、異変に気づいたりと、多くの判断が可能になります。
若いころから「宮原は手術中によく見えている」と言われてきました。これは私の強みだと思っています。
スキルを磨くために、日々の積み重ねを
手術の技術は、最初からできるわけではありません。私自身も、自宅にトレーニング用の道具を自作し、何度も何度も練習を重ねてきました。手術の夢を2日に1度は見るほど、常に頭の中で手技を繰り返してきたことが、今の自分をつくっています。
手術室でのマネジメントも術者の役割
小児心臓外科では、術者自身が手技と全体のマネジメントを同時に担う場面が多くあります。細かい吻合に集中しながらも、手術室全体を俯瞰してコントロールする。これは経験を積んだ術者にしかできない仕事であり、大きな責任でもあります。
宮原義典の手術ポリシー
私は常に「自分が一番いい結果を出せる」と信じて手術に臨んでいます。ご家族には、「技術的なことは心配いりません」とお伝えしています。最大のリスクは感染症であり、それ以外の技術的なことは、安心して任せていただければと思います。