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【先天性心疾患】手術前・手術後の予防接種について

こんにちは。昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターの清水武です。
本日は、心臓に病気を持つお子さん、特に先天性心疾患のお子さんの予防接種についてご説明いたします。

予防接種の重要性

予防接種(ワクチン)は、感染症を予防するために大変重要です。感染そのものを防ぐ効果だけでなく、仮に感染しても重症化を防ぐ役割があります。

ワクチンで予防できる感染症には、ウイルス感染症と細菌感染症があり、近年は多くのワクチンが開発されています。これらのワクチンにより、さまざまな感染症を未然に防ぐことが可能です。

心臓病があるお子さんのワクチン接種の考え方

心臓に病気があると「予防接種で副反応が重くならないか」と不安を感じるご家族も多いですが、ワクチンで予防できる病気にかかると、心臓病のあるお子さんは重症化しやすく、場合によっては集中治療が必要になることもあります。

副反応はどの薬や医療行為にもつきものですが、ワクチンのメリットが副反応のリスクを大きく上回るため、接種をおすすめしています。

ワクチンのスケジュールと接種の工夫

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールは母子手帳の裏などにも記載されています。

2か月から多くのワクチン接種が始まり、種類も多いため、同時接種が必要となることが一般的です。複数のワクチンを同時に接種しても問題はありませんが、心配な場合は2日に分けるなど調整も可能です。

手術やカテーテル検査と予防接種のタイミング

手術やカテーテル検査(特に全身麻酔を伴う場合)が予定されている場合、免疫反応が変化し感染症を引き起こしたり、得た免疫が十分に働かなくなることがあります。そのため、決められた時期までに予防接種を終えておくことが重要です。

ただし、手術やカテーテル検査の前後にいつワクチンを接種すべきかについては全国的な統一見解はなく、病院ごとに指示が異なる場合があります。必ず主治医に確認し、指示に従ってください。

当院では、ワクチンの種類ごとに「手術前に何日前までに終わらせるか」などの目安を設けています。たとえば、生ワクチンは術前3週間空けることが必要です。手術が木曜日の場合、水曜日までに接種して1週間空ける必要があるなど、細かい点にも注意しましょう。

手術後の予防接種について

手術後も、人工心肺や輸血の有無などで再開できるタイミングが異なります。

当院では、種類別に手術後の接種可能な時期をまとめた一覧を作成し、ご案内しています。疑問があれば主治医にご相談ください。

ワクチン接種の実際の進め方

スケジュールが複雑な場合は、かかりつけの開業医の先生に相談するのが最もスムーズです。多くの大学病院でも、基本的にはかかりつけ医での接種をお願いしています。

ご自身でスケジュールを組むのが難しい場合は、心臓の担当医が目安を出し、開業医で調整してもらう方法が良いでしょう。

予防接種時の注意点

予防接種の問診票には、現在の病気について記載する欄があります。

心臓の病気がある場合は必ず記入し、主治医の許可を得ていることも記載してください。主治医から特別な指示がない場合は「許可を得ている」として構いません。

特殊な予防薬について

一部の重症心疾患を持つお子さんには、通常のワクチンではなく「抗ウイルス薬」や「予防薬」を使うことがあります。たとえば、RSウイルス感染予防の「パリビズマブ(シナジス)」や新薬などは、直接抗体を注射する方法です。

これらは高額な薬剤のため、重症化しやすい先天性心疾患のお子さんが適応となります。2歳1か月までに接種が完了すれば適応範囲です。該当する場合は主治医にご相談ください。

予防接種と副反応について

「副反応が心配」という方も多いですが、予防接種によって防げる病気は命に関わるものも多いです。インフルエンザ桿菌や肺炎球菌による髄膜炎などは、ワクチンの普及で大幅に減少しています。

副反応は多くの場合、発熱や注射部位の腫れなど軽度で、重大なものはまれです。

困った時・不安な時は

不明な点や不安がある時は、必ず担当医にご相談ください。

昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターでは、皆さんの安心と安全を第一に考えたサポートを行っています。

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