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乳幼児健診・学校健診で心雑音と言われたら

こんにちは。昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターの清水武と申します。
本日は、乳幼児健診や学校健診、またはかかりつけの先生から「心雑音」を指摘されたとき、どのように対応すれば良いかについてご説明します。

健診の目的と「心雑音」とは

健診の大きな目的は、健康な方の中から病気を早期発見することです。特に重篤な病気がある場合には、健診で発見することで、重い合併症を防ぐことが期待されます。

子どもの心臓の異常で最も多いのは、先天性心疾患です。正常な心臓の構造に対し、壁に穴が開いていたり、弁が狭くなっていたり、弁に逆流があったりすると、雑音として聴こえてきます。こうした異常音を「心雑音」と呼び、健診では早期に異常を見つけるために重要な役割を果たしています。

聴診でわかること

学校医や健診担当の先生は、診察時に聴診器で心臓の音を確認します。通常は「ドクドク」と規則的な心音が聞こえますが、それ以外に「ザーッ」といった音やさまざまな異常音が聞こえる場合があります。これらを総称して「心雑音」と呼びます。

心雑音を指摘されたときの流れ

診察で最も大事なのはお子さんの「症状」です。症状の有無を確認し、次に聴診、必要に応じて追加検査へと進んでいきます。

子どもの聴診は、泣いていたり動いたりして難しいことも多いですが、先生方は十分注意しながら聴診しています。「以前も気になる雑音があった」など不安があれば、もう一度聴診してもらうことも大切です。

子どもに現れる心臓の症状

子どもは言葉でうまく症状を伝えられないため、普段と違う様子があれば注意が必要です。
心臓に関係する大きな症状は主に2つあります。

1つ目は「心不全」です。
先天的な心臓の病気があると、呼吸が早くなったり、ミルクを飲むのに時間がかかったり、量が飲めなかったり、体重が増えにくくなったりします。呼吸回数が増えたり、胸やお腹を大きく動かして苦しそうに呼吸する様子が見られる場合は注意してください。

2つ目は「チアノーゼ」です。
これは、酸素の少ない血液が全身に流れることで、顔色や唇、指先が青紫色になる症状です。最近では、産院や病院で早期に検査されることが多いため、乳幼児健診で見つかるケースは減ってきています。

大人と子どもの心不全の違い

「心不全」と聞くと大人の心筋梗塞などを想像される方も多いかもしれませんが、子どもの心不全は、心臓そのものが動かないというよりは、先天性心疾患の構造による血液の流れのアンバランスが原因です。

症状としては、やはり呼吸が苦しそう、体重が増えない、などに着目しましょう。

心雑音があると言われたときの受診の目安

「心臓の病気があるかもしれない」と言われるとご不安になると思いますが、健診で見つかる多くの場合は、症状を伴わないケースがほとんどです。その場合は慌てず、落ち着いて受診先を探し、専門外来を受診してください。

どこを受診すればよい?

お住まいの地域の総合病院や、大学病院の小児科のホームページなどで「小児循環器外来」「循環器外来」と記載されているところを探しましょう。これらの外来では、小児循環器専門医が診察を担当し、必要に応じて心臓超音波検査(エコー)なども実施できます。

多くの場合、健診を受けた施設で紹介状が発行されますので、その案内に従って受診するとスムーズです。かかりつけ医で指摘された場合は、その場で紹介状を書いてもらいましょう。

無害性雑音・機能性雑音について

心雑音で受診される方の多くは、「無害性雑音」や「機能性雑音」と診断されます。

これは心臓の構造や機能に異常がない場合でも、体が小さいお子さんの場合は大量の血液が流れることにより、正常でも雑音が聞こえることがあります。

先天性心疾患でも過度な心配は不要です

生まれつきの心臓病は、早ければお母さんのおなかの中で診断されます。

その際、ご家族は大きなショックを受けるかもしれませんが、医療の進歩により、現在では95%以上の患者さんが成人し、元気に生活できるようになっています。まずは一人で抱え込まず、気になることは医療機関へ気軽にご相談ください。

昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターでは、患者さん・ご家族の不安に寄り添い、専門的なサポートを行っています。

心臓や健診での指摘に関する疑問・ご不安がありましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。

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