こんにちは。昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターの喜瀬です。
本日は「川崎病」について、症状・治療・注意点などを分かりやすくご説明いたします。
川崎病とは?
川崎病は原因不明の病気ですが、主な症状が6つあります。
- 白目(眼球結膜)の充血
- 口唇や口の粘膜の発赤
- 全身の発疹
- 高い熱(発熱)
- 首のリンパ節の腫れ
- 指先などの硬いむくみ(硬性浮腫)
これら6つの症状が川崎病の特徴とされています。
血管への影響と心臓合併症
川崎病の症状は、全身の血管の炎症によって起こると考えられています。中でも注意が必要なのが心臓の「冠動脈」です。
冠動脈は心臓の表面を走る細い血管で、心臓の筋肉に栄養を届ける非常に重要な血管です。この冠動脈に「瘤(こぶ)」ができて腫れてしまったり、血栓が詰まって血流が悪くなったりすると、心臓そのものの働きに大きな影響を与えます。
そのため、早期発見・早期治療がとても大切です。特に乳児期に多く発症しますが、学童期や年長児で発症することもあります。特に1歳、2歳、3歳頃のお子さんが最も多いですが、年齢を問わず注意が必要です。
川崎病の治療法
診断が確定した場合、まず「ガンマグロブリン」というお薬(ウイルスなどを排除する抗体)を大量に投与する治療が一般的です。これでも症状が改善しない場合は、「標的薬」と呼ばれる炎症を引き起こす物質(サイトカインなど)に作用する薬剤を追加することもあります。
さらに、どの治療でも効果が得られない場合は「血漿交換療法」を行うこともあります。これは体内を巡る血漿をすべて取り除き、新しい血漿に入れ替える方法です。川崎病の原因となる物質が血漿中に含まれていると考えられており、これを除去することで治療効果を高めます。
昭和医科大学病院では、これらの治療を段階的に行い、ほとんどの患者さんが無事に回復し退院しています。
冠動脈の病変が残った場合のフォローアップ
川崎病で冠動脈に病変(瘤や拡張など)ができてしまった場合も、引き続き治療や経過観察を行います。
病変が残った場合は、血栓が詰まったりしないように外来で治療を継続し、必要に応じてカテーテル検査なども行い、追加治療の必要性を判断します。一生にわたりフォローが必要となる場合もあります。
再発・再燃への注意
川崎病は再発が非常にまれですが、ゼロではありません。
もし高熱などの症状が再び現れた場合には、以前治療を受けた病院、もしくは昭和医科大学病院を受診し、「川崎病の再発・再燃」を早めに確認することが大切です。
治療後の日常生活と注意点
ガンマグロブリン製剤を使用した場合、生ワクチン接種は投与後6か月空けることが推奨されています。ワクチンのタイミングについては、退院時や外来で主治医にご相談ください。
また、退院後はアスピリンという血小板の働きを抑える薬を約2か月間服用します。血栓予防のために大切ですが、血が止まりにくくなるため、転倒や大きなけがには十分注意してください。
最後に
川崎病についてインターネットで調べると「原因不明」などの情報もあり、ご家族は大きな不安を感じられるかもしれません。
しかし、現代の医療ではガンマグロブリンをはじめとした有効な治療法が複数確立されています。血漿交換なども含めてしっかりと治療すれば、ほとんどの方が元気に回復・退院されています。
もし川崎病と診断された場合でも、分からないこと・不安なことは納得いくまで医師にご相談いただき、安心して治療に臨んでください。
昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターは、ご家族の不安に寄り添い、安心できる診療を提供しています。疑問やご心配があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。