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【前編】昭和大学病院の小児循環器・成人先天性心疾患センターについて

こんにちは。昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターの藤井です。
本日は、当センターの特徴や概要について、ご紹介させていただきます。

センターの役割と診療の対象

当センターには主に2つの大きな役割があります。

ひとつは、小児の心臓病全般に対する診療。そしてもうひとつが、年齢を問わず先天性心疾患の患者さんの診療です。胎児、つまりお母さんのおなかの中にいる時期から、ご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんが受診されています。

当センターが特に力を入れているのは、生まれつきの心臓病、いわゆる先天性心疾患です。現在では、出生前診断として超音波検査を用いることで、多くの場合、お母さんのおなかの中にいる時期から心臓病の有無をある程度診断することができます。

年齢にとらわれない切れ目のない診療体制

一般的な病院では、患者さんの年齢によって診療科が分かれていることが多く、胎児期は産婦人科、出生後まもない新生児期は新生児科やNICU(新生児集中治療室)、小児期は小児科、そして高校生を過ぎて大人になると循環器内科へ、といった形で診療が引き継がれていきます。

しかし、子どもの頃から小児科で治療やフォローを受けてきた患者さんが、進学や社会人になるタイミングで突然内科へバトンタッチされると、スムーズに移行できないケースも見られます。

そこで、私たちのセンターでは、胎児期から一貫して診断・治療・手術・カテーテル治療・フォローアップを行い、年齢に関係なく成人まで切れ目のない診療を受けていただける体制を整えています。

この仕組みにより、患者さんの成長や生活環境の変化に応じて、最適な医療を継続的に提供することが可能になっています。

成人患者さんも多く受診されています

私の外来でも、約4割以上が20歳を過ぎた成人の患者さんです。最年長の方は80代で、長期的なフォローアップを継続している方もいらっしゃいます。

先天性心疾患の頻度と治療

先天性心疾患は、お子さん100人に1人の割合で発症します。そのうち、手術やカテーテル治療といった大きな治療が必要となるのは、約3割程度とされています。

多くの場合、心臓の基本構造や形が通常と異なることが原因で、血液循環が悪くなります。そのため、心臓の形を整える治療が必要となり、外科的な手術やカテーテル治療が行われます。

外科手術とカテーテル治療の役割

病気の種類によって、どちらの治療法が適しているかは異なります。

当院では心臓血管外科の医師が外科手術を担当し、小児科の医師がカテーテル治療を担当しています。先天性心疾患に関しては、ほぼすべてのタイプの治療が可能です。

患者さんごと、疾患の種類や状態に合わせて、心臓血管外科と小児科の医師が相談し、最適な治療方法をご提案しています。

カテーテル治療について

カテーテル治療は、生まれつきの心臓病、たとえば心臓の壁の一部に穴が開いている場合や、血管や心臓の弁(扉のような構造)が狭くなった場合、あるいは弁がきちんと閉じなくなった場合などに用いられます。

具体的には、心臓内の穴を閉じる器具を使って閉鎖したり、狭くなった血管や弁を、風船の付いたカテーテル(細い管)で広げたり、ステントという金属の器具を血管に入れて、血管の内側から広げたりします。こうして心臓や血管の構造を整える治療が主に行われています。

カテーテル治療の進歩と利点

従来はこれらの治療はすべて外科手術、つまり胸を開けての手術が必要でしたが、現在は治療機器や技術の進歩により、カテーテル治療が“第一選択”となることも珍しくありません。

カテーテル治療は体への負担が少なく、入院期間も短くて済むなど、患者さんにとって大きなメリットがあります。

おわりに

昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センターでは、年齢やライフステージを問わず、すべての患者さんに切れ目なく一貫した診療とサポートを提供しています。

小児期から成人、高齢期まで、それぞれの患者さんのライフステージやご希望に合わせて最適な医療を受けていただけるよう、スタッフ一同、日々努力しています。

どんな小さなご心配や疑問でも、ぜひお気軽にご相談ください。

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