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腎動脈狭窄(腎血管性高血圧)

―お子さまの腎動脈の病気をていねいに解説します―

1. 腎血管性高血圧(腎動脈狭窄)とは

腎血管性高血圧(じんけっかんせい こうけつあつ)とは、腎臓に血液を運ぶ「腎動脈」が狭くなることで起こる高血圧です。小児の二次性高血圧(他の病気が原因の高血圧)の代表的な原因の一つです。
小児における最も一般的な原因は「線維筋性異形成」で、腎動脈の壁が異常に厚くなり、血管が狭まります。大動脈炎症候群など他の疾患が原因となることもあります。腎動脈が狭くなると、腎臓への血流が悪くなり、腎臓は血圧を上げるホルモン「レニン」を分泌します。この仕組みで高血圧が発症します。

2. 症状と発見のきっかけ

高血圧そのものは症状がないことがほとんどです。学校健診や乳幼児健診で血圧高値を指摘されたことがきっかけで見つかることが多いです。
血圧が著しく高い場合は、頭痛、めまい、倦怠感、学校での集中力低下などの症状が現れることがあります。繰り返し血圧高値を指摘された場合には、医師に相談することが大切です。

3. 診断と治療方針

診断には、腹部超音波検査、造影CT、MRI血管造影、カテーテル検査などが用いられます。狭窄の位置、程度、腎機能を詳しく評価します。
治療方針は、狭窄の程度、血圧コントロール状況、腎機能によって決定されます。軽度の狭窄で血圧がよくコントロールされている場合は、薬物療法と経過観察を行います。中等度以上の狭窄があり、血圧が薬物療法で十分にコントロールできない場合や、腎機能が悪化している場合は、カテーテル治療が治療選択肢となります。

4. カテーテル治療の利点

小児の腎動脈狭窄に対するカテーテル治療(経皮的腎動脈形成術)は、外科手術に比べて体への負担が少なく、優れた治療成績を有しています。
体を大きく切ることなく治療できる
入院期間が短い(3~5日)
学校生活への影響が最小限
治療後、多くのお子さんで血圧が改善し、降圧薬の減量や中止が可能
腎機能の低下を防ぎ、将来の腎不全や心臓病を予防できる

5. カテーテル治療とは

腎動脈狭窄に対するカテーテル治療は、体を切ることなく、太ももの付け根や手の血管からカテーテル(細い管)を挿入し、狭窄した腎動脈までカテーテルを進めます。バルーン(風船)で血管を内側から拡張させます。必要に応じて、ステント(金属製の筒)を留置して、血管を広げる場合もあります。
この治療は、体への負担が少なく、回復が早いのが大きな特徴です。

6. 治療の流れ

治療前:腹部超音波検査、造影CT、MRI検査で狭窄を詳しく調べます。血圧測定、腎機能検査、尿検査なども行い、診断を確定して治療方針を決定します。
治療当日:全身麻酔のもと、お子さんが眠っている間に治療を行います。足の付け根や手首の血管を穿刺してカテーテルを挿入し、X線透視下で腎動脈まで進めます。
バルーン拡張:バルーンカテーテルを狭窄部位に進め、バルーンを膨らませて血管を拡張します。拡張前後の造影で血流の改善を確認します。必要に応じてステントを留置します。
治療後:数日間入院し、血圧の変化、腎機能、合併症の有無を観察します。多くのお子さんは治療後数日で退院でき、その後は制限なく学校生活や運動を再開できます。

7. 治療成績

小児における線維筋性異形成に対するカテーテル治療の成績は比較的良好です。約70~80%のお子さんで血圧改善が期待できます。
血圧完全コントロール(降圧薬中止可能):約50~60%
血圧改善(降圧薬減量可能):約20~30%
特に線維筋性異形成では良好な成績が期待できます
治療後は定期的な外来受診が重要です。血圧測定、腎機能検査、腹部超音波検査、ドプラ超音波検査などにより、血流の改善と腎機能が保たれているか確認します。

8. 治療後の生活

血圧がコントロールされたお子さんは、通常の学校生活に制限はありません。体育の授業や学校行事への参加、スポーツなども制限なく可能です。穿刺部位の傷は小さく目立ちません。
治療後は定期的な外来受診と血圧測定が重要です。お子さんの成長に伴う血圧管理の見直しも医師と相談しながら行います。

9. カテーテル治療のメリットと注意点

メリット

  • 腹部を切らずに治療でき、体への負担が小さい
  • 傷が最小限で、回復が早く、入院期間が短い
  • 学校生活への影響が少ない
  • 多くのお子さんで血圧が改善し、降圧薬の減量や中止が可能
  • 腎機能の低下を防ぎ、将来の腎不全や心臓病を予防できる

注意点と可能性のある合併症

まれに、腎動脈の損傷、血栓形成、造影剤アレルギーなどが起こることがあります。腎機能が著しく低下している場合は、造影剤による腎障害のリスクがあるため、慎重な検査と治療計画が必要です。治療後も定期的な外来受診と検査によるフォローアップが重要です。

10. ご家族へのメッセージ

お子さんの高血圧が学校健診で見落とされることがないよう、注意を払うことが大切です。繰り返し血圧高値を指摘された場合や、頭痛などの症状がある場合には、小児循環器専門医にご相談ください。
腎動脈狭窄が発見されても、適切な診断と治療により、血圧をコントロールし、お子さんの健やかな成長と将来の健康を守ることは十分に可能です。カテーテル治療は、今や安全で確立された治療法です。
不安なことや疑問があれば、どんなことでもご相談ください。ご家族とともに、お子さんの健康と成長を全力でサポートします。

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